第1回 研究会

相関とネットワークとCDO

  • 久門 正人(金融庁)
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CDOとは様々な企業などの債権を集め証券化したものである。この証券は2008年のリーマン・ショックの時に次々にデフォルトしたのは記憶に新しい。それまではほとんどデフォルトしなかったので、テール・リスクの一種と考えられる。その評価にはエクスポージャー、デフォルト率、相関のパラメータが必要である。エクスポージャーやデフォルト率については、比較的理解されて、設定方法やストレスのかけ方もポピュラーな方法が存在する。一方、相関についてはその設定方法、影響にても未知な部分が多い。金融危機時でも相関の設定の問題、としてとらえられることが多い。危機時には相関が高まることが多いからである。実際、インプライド相関という指標は市場価格から算出されていたが、当時その値は90%を超える非常に高いものであった。ポートフォリオのデフォルト率の評価についてはノーマル・コピュラモデルを使ったシミュレーションがスタンダードになっている。このほかにもテール・リスクを強調する、様々なコピュラモデルが考えられている。ではこのようなモデルで相関を適切に設定すれば、システミックなテール・リスクは捉えられるだろうか?また、最近のトピックスとして金融のネットワークがあげられる。相関を考える場合、業種内や業種間での平均的な相関関係を設定することが多い。一方、(相関による設定のように)個社同士はすべてつながっているわけではなく、特定の取引先のネットワーク上に存在すると考えられる。その大きな特徴としてはハブの存在があげられる。ハブの重要性は多くの取引先をもつ企業は多くの企業に影響を与えるものと考えら、重要視される傾向になる。ネットワークにからむ問題の一つに”山火事が広がる原因は?”というものがある。これは山火事が広がる原因はハブとなる木が存在し、そのハブが燃えてしまうために全体に広がるのか、それともハブはあまり関係なく、その他の状況によって延焼の度合いが決まるのか、というものである。この問題については意見が割れることも多い。山火事をデフォルトと考えればこの問題は連鎖倒産の問題になる。これらの観点を踏まえ、次の問題を議論する。
1 ポートフォリオのデフォルト率の分布は相関によって記述できるか?
2 ポートフォリオのデフォルト率の分布にネットワークの違いはどのような影響を与えるか?
特に大規模な連鎖倒産について注目し、簡単な数理モデルを使って議論する

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