第5回 研究会

取引金額に見られる不平等性に注目した企業間取引ネットワークの流域構造の解析

  • 田村光太郎(東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻)
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日本企業およそ100万社の取引関係データを大規模複雑ネットワークとして扱うことで、企業間の取引構造にはさまざまな特徴があることが分かってきている。なかでも、企業間取引における取引に関わる2つの企業の取引金額は、2社の売上の非対称な積で決まることが知られている。このような複雑ネットワーク上の2体のノードの持つスカラー量の積で相互作用の強度が決まる重力則は、国家間の貿易量や移民量、都市間の交通量で普遍的に観測されていて、社会現象における基本的な相互作用であることが考えられる。
 われわれは、この重力則で決まる流れ(有向リンク上に定義される重み)に、強い不平等性があることを報告した。複雑ネットワーク上の流れのうち、一部のリンクのみが流れを理解する上で本質的であることが確認された。この不平等性について注目し、ループやサイクルが多数存在するネットワーク構造の中から主流で構成される流路構造を抽出し、抽出したネットワークを元のネットワークに埋め込まれた構造としてその関係を定量的に解析した。