第3回 研究会

実データに基づいた企業間振込ネットワークの解析と企業評価との連携

最近,国内の企業間の取引関係についてネットワーク理論の立場からの様々なネットワーク分析が行われている.しかし、これらの研究に用いられているネットワークデータは,調査会社によるアンケート調査に基づいて作成されたものであり,取引関係(リンク) の重みに関する情報がない場合が多い.そこで,本研究では国内の3つの金融機関に協力いただき,2012 年の一年間についての企業間の振込のデータを提供いただいた.データには,どの日付けにどの企業からどの企業にいくらの金額が振込されたかについての情報が入っている.この振込データから現実のお金の流れのネットワークを構築し,ネットワーク解析を行った.企業をノードとし,企業i から企業j に振込がされていればノードi からノードj に有向リンクをつなぐ(i → j) という操作により,有向ネットワークを構築した.リンクの向きは本研究ではお金の流れの向きとしたが、向きを逆向きにすると物・サービスの流れになる.一般に,ネットワークはいくつかの成分に分類することができるが、ここでは,強連結成分(任意の2 つのノード間に有向路が存在する成分) で最大のもののみを分析対象とする.データA,B,C の最大強連結成分のサイズはそれぞれ約4 万ノード,約5 千ノード,約1 万ノードになる.
 得られたお金の流れのネットワークから個々の企業のページランクを計算し、これが経済ネットワークにおけるその企業の重みとなる。このページランクと、その企業自体の内容からの企業評価(調査会社によるランキング等)の相関を取ることで、その企業の経済ネットワークでの位置づけや投資増加が望ましい企業の選別や連鎖倒産回避の施策が必要な企業などがわかる.

本研究の一部は,独立行政法人科学技術振興機構社会技術研究開発センター問題解決型サービス科学研究開発プログラムの助成および学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点の支援による.